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三鳥派と身延日亨

乍恐指上申一札の事
拙寺末武州川崎町妙遠寺当住日忍儀は妙本寺廿一代日達弟子にて法脈慥に御座候。右日忍妙遠寺住持に申付候年来は元禄十三辰の年迄三十年に罷成候。尤今般御吟味の三鳥派に紛敷事曽て無御座候。仍て書付指上申候。以上。
 享保十四已酉年十一月十六日 房州吉浜村 妙本寺
寺社御奉行所

以上は、高橋粛道著「近世異流義集成」に収録された妙本寺文書である。

三鳥派関連は江戸及び駿河の大石寺、西山本門寺、北山本門寺、妙蓮寺の富士四山及び一部の末寺、中でも特に妙蓮寺を中心に、その事跡が残っているようであるが、安房妙本寺の関連は極めて少なく、しかも安房妙本寺唯一の武州末妙遠寺が関連しているのは、やはり江戸に近かったからだろう。

さて、高橋粛道氏は同著の「はじめに」のなかで、三鳥派について『特に身延山に蔵する三鳥派の文献を紹介できなかったことで、解明が遅滞するのは痛恨の極みでもある。』と記されており、三鳥派に関する史料が身延山にあるが、同著発刊までに閲覧できていないことを述べている。

はたして日蓮宗側が閲覧に応じるかどうかは、日蓮宗と日蓮正宗の交流が欠かせないわけだが、創価学会などの眼もあり白昼堂々とはできないだろう。
また日蓮正宗も宗内の史資料を閲覧制限していては、日蓮宗側にとってもむしのいい話はのめないというものだろう。

もう一つ、三鳥派弾圧の影に身延山三十三世日亨の存在が観える。
身延日亨は、自称身延山紫賜参内初祖であり、身延山の諸堂伽藍を整えた貫首である。
江戸時代の庶民の賽銭で七堂伽藍が整うはずもなく、同然当時の権力者と関係があったはずである。
その日亨にとって、新義異流として奉行所から目をつけられる日蓮党の存在は、他門流ながら自らの目的を阻害するものであったに違いない。
また逆にそのような新義異流の日蓮党を奉行所に訴えることによって、幕府の信頼を得、多くの支援を手にしたかもしれない。
そうであれば、自山歴代の黒い影を表沙汰にすることには大きな勇気もいる。
身延日亨は、宝物目録や本尊模写等を残し、それによって近現代失われてしまった史料の補完的役割を担った功績がある。
身延山にどのような三鳥派関連の史料が眠っているのかは正直興味がある。
しかし出すだろうか。
その一部でも身延山宝物館に展示していただき、池上本門寺の霊宝殿になら図録でも出していただけるとありがたい。





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コメント

[C1992]

阿呆陀羅經さん、

こんな例もあるのですね。
秘仏にマイナスイメージが強かったのですが、すこし考え方を変えました。

ご教示に感謝します。

  • 2013-12-23 19:19
  • 管理者
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[C1991] 極めつけの秘佛

余談ではありますが、今までに実見した数ある秘佛の「極めつけ」は、今から25年前に京都国立博物館で催された『仁和寺の名宝』展に出陳された、像高一尺-台座と光背含む-足らずの薬師如来坐像でした。光背に七佛薬師と日光・月光菩薩、台座の四面に十二神将を三体ずつ彫刻した、息を呑むばかりに精緻な総白檀の作品で、大佛師定朝の孫弟子である円勢と長円親子の作とされております。余りの見事さに、陳列ケースの四方から何時までも眺め飽かしていたことを思い出します。
発見後程なく重要文化財、そして国宝に指定されたのも宜なるかなでした。

http://ameblo.jp/shinacchi79/entry-11157547649.html

※管理人様、同文の先の投稿は、誤字があるので消去して下さい。
  • 2013-12-23 14:45
  • 阿呆陀羅經
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[C1989]

阿呆陀羅經さん、

そうですね。
先祖伝来の宗派や、自身の信仰に迷わされず、客観的な眼をもって観なければならないですね。

実はアマチュアの私の眼にはどうしても鎌倉時代にみえない彫像が、国の文化財指定を受けていたりします。

国の指定は専門家が行うひとつの基準にはなりますが、これもまた鵜呑みにしないように自らの眼を磨きたいと思います。

  • 2013-12-22 22:55
  • 管理者
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[C1988]

密教系に限らず、“秘佛開帳”の類に関しては、数少ない例外-指定文化財クラス-と博物館への出陳公開を除き、得心させられた記憶がありません。

酷い代物ともなれば、平安初期の最澄自刻を騙る桃山~江戸期の作例もあるくらいで、何とヤクザな稼業よと、鼻白む思い頻りです。

翻って考えれば、「秘すべし」などという触込みの口伝や秘伝、相伝の類も似たり寄ったりで、蓋を開けて見れば、大言壮語ばかりの内容空疎な喰わせ物であることも少なからずと心得ます。

胡散臭い「触れ込み」に惑わされることなく、冷徹にして客観的な眼差しで、淡々と史実もしくは事実のみを闡明し続けたいものです。
  • 2013-12-21 17:27
  • 阿呆陀羅經
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[C1987]

阿呆陀羅經さん、

ご高覧並びにご教示ありがとうございます。

都合の悪いものを出さないのは、日蓮宗も日蓮正宗も、また他の日蓮党も同じで、何かを詳しく調べようと思うと、必ずその手の壁にぶつかります。

密教系の秘仏も同様で、お開帳といいつつほとんど見えなかったり、当然詳しく調べることは許されません。

神道も同じで、御神体を調査することは、ほとんど無理で、一般的には直接御神体を見ることすら叶いません。

日本の、モノ見せ宗教の悪弊ですね。

  • 2013-12-20 18:40
  • 管理者
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[C1986]

日蓮宗が、三鳥派関係の資料の公開について及び腰にならざるを得ない理由として考えられるのは、密教的要素と並んで近現代の日蓮門下が隠蔽に努めて来た、“法華神道”の孕む問題でありましょう。

抑も、日蓮法華宗の天台法華宗からの独立に寄与したのが、“唯一神道”を唱えた吉田兼倶であった事実は、“顕教化”を推進して来た近現代の日蓮門下にとって、「不都合な真実」に他ならず、また神道的あるいは修験的な富士信仰との親和性が濃厚と見られる三鳥派の実態解明は、ある種の“地雷”にもなりかねない危険性を孕んでいるように思えます。
  • 2013-12-20 01:59
  • 阿呆陀羅經
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[C1985]

行者忍辱さん、

ご高覧並びにコメントをありがとうございます。

色々とご協力のお話し有り難く存じます。
ご法務や宗内での関係にて、行者忍辱さんの立場が負の方向に行かない程度でお願いできれば幸甚です。

該当の史料は宗門近世史を知る上では、一級史料ですので簡単に快諾できるものでは無いと思います。無理のない範囲でお話いただければと存じます。

  • 2013-12-18 23:37
  • 管理者
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[C1984]

京急沿線は、結構、法務で行く事が有るので、妙遠寺様、一度、参拝させていただきたいと思います。それから身延文庫、身延山宝物館に、三鳥派の文書が有るのですか、可能かどうかは、わかりませんが、身延山大学にはTE教授と言う文献学の先生がおられます。立正宗学科は一期下ですが、非常に優秀な方です。来月4日に、TE教授の宗門の、お師僧さんの、お寺で新年法要及び、新年会が行われ、実は私も、前の師僧様の、お寺(日限祖師本覚寺)が、すぐ隣である関係で、新年法要、新年会に出席する予定です。もし、よろしいのであれば、冨士教学研究会と管理者様の事を、お話しし、打診をさせていただこうと思います。ただし、冨士教学研究第二号を発刊された暁にはTE教授に進呈されるようになるかとは思いますが、余計な事のようで、申し訳ありません。
  • 2013-12-18 22:02
  • 行者忍辱
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それと同時に、冨士教学研究会の役割もほぼ終わりかけていると思います。
今後は、政治・宗教・社会等の問題を気ままに記してまいります。
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